トリコモナスという病気をご存知でしょうか。
トリコモナスは、性病の一種です。
トリコモナスは性交で感染しますので、男女どちらかがトリコモナスと診断されたら、2人で検査・治療を行うことが最も大切です。
性病と聞くと恐ろしいでしょうが、薬を飲むことで治すことが出来るので安心して下さい。
性病の検査を受けることを恥ずかしがらず、自分の身を守る為にも、また感染を広げない為にも、何よりしっかり治すことが肝要です。
女性ならおりものの異常、男性ならパートナーが感染したとわかったら、必ず2人揃って診察を受けるようにしましょう。
トリコモナスとは?
トリコモナス原虫という、肉眼では見ることが出来ない小さな、ゾウリムシの様な原虫が、女性なら膣内や子宮頚管、膀胱、尿道に、男性なら精巣、前立腺、陰茎包皮、尿道に寄生することで炎症を起こす病気です。
トリコモナス原虫の寄生で、女性は症状が出る場合があるのですが、男性は自覚症状が無いことが殆どなので、罹患していても気付かないので注意が必要です。
何故なら、トリコモナスは性交に依って感染するので、女性が治っても男女間でピンポン感染を繰り返してしまうからです。
また、トリコモナスに罹っている患者は、他の性病にも感染している場合が多いです。
更に、妊婦が感染していると、早産や前期破水を起こしたり、お腹の中で胎児が感染し、生まれてきた赤ちゃんが既にトリコモナスに感染している場合もあります。
【女性】膣トリコモナスについて
膣トリコモナスの症状
女性がトリコモナスに罹ると、半年以内に大量の黄色や緑色のおりもの、大量の泡状の膿のような分泌物、魚の様な生臭い臭い、外陰部の強い痒み、膣に刺激感や痛みを感じる、といった症状が現れます。
これらは、トリコモナスが膣内で増加するに従って、膣自体の自浄作用が低下し、色々な細菌が活発になることで起こるものです。
いずれも「これはおかしい」と感じる症状ですので、すぐに医師の診察を受けましょう。
放っておくと、トリコモナスの炎症が卵管にまで達し、不妊症、早産、流産を起こすようになってしまいます。そうならないように、何か普段と違うと感じたら、すぐに診察を受けましょう。
膣トリコモナスの感染経路は?
トリコモナスの主な感染経路は性交です。
特に自覚症状が無いパートナーからの感染が殆どで、どちらかが自身の異常に気付くまで、ピンポン感染が続いてしまいます。
それ以外にも、トリコモナスの感染経路はあります。
稀ではありますが、トリコモナスが幼児に感染することがあります。
これは、下着やタオル、浴槽内や便器といった家庭内の物や場所からの感染です。
トリコモナスの原虫は乾燥にはとても弱いのですが、水の中では長時間感染能力を持ち続けると言われています。その為、湿った下着やタオル、水が張ってある場所での感染があるようです。
しかし、家庭内感染は普通に清潔を心がけていれば、心配することはありません。
検査や治療はどこでできるの?
検査
女性は産婦人科やレディースクリニックを受診し、問診の後、内診をし、膣内の分泌物を滅菌された綿棒で採取します。
トリコモナスに罹っている人は、それ以外の性病にも罹っている場合があるので、その分泌物を顕微鏡で調べ、他の性病の感染についても同時に調べます。
この時、必要に応じて、分泌物を培養して遺伝子検査を行うこともあります。
また、子宮や卵巣にも感染していないかを確認する為に、内診で骨盤部を調べます。この時、患者が強い痛みを感じたり、骨盤部が熱を持っている場合は、トリコモナス以外の感染症を起こしている可能性があります。
尚、性病検査は保険診療を受け付けていない病院もあるので、予め電話やネットで確認することをお薦めします。
治療法
メトロニダゾール、またはチニタゾールという抗菌薬を1回経口投与するだけで、95%の患者は治癒します。
また、メトロニダゾールは膣座薬もあるので、座薬が処方されることもあります。
この薬は服用後、少なくとも72時間、通常10日間はアルコール摂取が禁じられています。
もし、この時間内にお酒を飲むと、吐き気、嘔吐、けいれん、紅潮、頭痛といった所謂副作用が起こる可能性がある為です。
メトロニダゾールの服用で95%の割合で、原虫が駆除されますが、次の月経後にトリコモナス原虫がいなくなっていることと、自覚症状が無くなっていることを確認します。
これは、原虫が駆除しきれなかった場合、月経血中の中で増殖している可能性があるからです。
【男性】性器トリコモナスについて
性器トリコモナスの症状
困ったことに、男性は殆どの人に自覚症状が現れません。
トリコモナスに感染すると、尿道から分泌物が出たり、炎症が起こることで、わずかな痒みや不快感を感じる程度です。これは軽い尿道炎の症状と同じです。
また、原虫は前立腺にも生息するので、前立腺炎を起こした場合、それを『おかしい』と感じるかどうかくらいです。
しかし、中には尿道から膿状の分泌物が出る、排尿時の痛み、陰嚢の腫れ、陰茎に水泡が出来る、といった症状が出ることもあります。
男性のトリコモナスは重い前立腺がんに罹るリスクを高めますので、パートナーが感染しているなら、男性も検査や治療が必要となります。
性器トリコモナスの感染経路は?
感染経路は女性との性交です。
検査や治療はどこでできるの?
検査
男性は皮膚科、泌尿器科、性病科のいずれかを受診します。
女性と同じく、男性も性病検査に保険診療が効かない病院があるので、事前に調べておきましょう。
検査は、性器の外診、尿検査、尿道の分泌物の採取が行われます。
そこで原虫が採取されれば診断も容易なのですが、そうでない場合は培養をして他の性病と併せて診断が下されます。
また、直腸診を行うこともあります。
治療法
飲み薬のメトロニダゾール1.5gを1回のみ服用、または250mgを1日2回、10日間服用します。
ただ、メトロニダゾールは発がん性があるので、10日間服用した後は1週間空けなくてはなりません。
その後の検査で、自覚症状と原虫が駆除されていれば治療は完了です。
自宅で出来る検査キット
異常を感じて病院で検査を受けることは大切ですが、繰り返しますが、トリコモナスは自覚症状が出にくい性病です。
ですから、自分が性病に罹っていないか不安な人もいることでしょう。
そういう人達の為に、現在では自宅にいながら検査キットを使って、性病の有無を調べることが出来ます。
しかも、検査キットは中身がわからないような包装で届き、名前や住所ではなく、IDとパスワードの記入で調べてもらえる機関が殆どです。
検査結果もネット上で確認出来ます。
キットの種類も幾つかあるので、必ず検査項目にトリコモナスが入っている物を選んで下さい。
女性用・男性用と用意されているので、キットの使い方をそれぞれでよく読んで使用し、返送しましょう。
結果が陽性の場合、提携している治療期間を紹介してくれる機関もあるので安心です。
異常を感じる前に、まず自分が性病に罹っていないかを知ることはとても大切なことです。自宅にいながら結果を知ることが出来る、性病用の検査キットの利用もお薦めです。
予防法
女性は特に、妊娠時にトリコモナスに罹っていると、お腹の中の赤ちゃんに感染する恐れがあります。
また、男性も死に至る前立腺がんに罹るリスクが高くなります。
これらを避ける為にも、また、免疫性がないので、何度も罹る可能性もありますので、是非予防にも心掛けたいものです。
予防法は簡単で、性交時に必ず『避妊具』を付けることです。
また、一度トリコモナスに罹ったら、パートナーと2人で治療を徹底した後に性交するようにしましょう。
まとめ
如何でしたか。
トリコモナスが、自覚症状が出にくい厄介な性病だということがわかったと思います。
女性がトリコモナスに罹っていると、パートナーにも移してしまいます。
また、トリコモナスに罹っている自覚症状の無い男性から、女性に移されることも考えられます。
しかし、治療を受ければちゃんと治る性病でもあります。
予防として、避妊具を付けての性交と、女性は比較的自覚症状が出やすいので、何か普段と違う症状を感じたら、直ぐにも検査を受け、陽性であればパートナーと2人でトリコモナスを治癒させることが大切です。