C型肝炎という病気を知っていますか?数多くある性病の一種で世界中に約1億7000万人、そして日本には約200万人のキャリア(ウィルス保有者)がいるとされています。
今回は性病の一種であるC型肝炎の症状と感染経路、発症に至るまでの潜伏期間、B型肝炎との主な違い、そして検査と治療ができる場所について詳しく解説していきます。
C型肝炎とは?
C型肝炎は人間の血液を介して感染するウィルスです。C型肝炎ウィルスに感染すると肝臓の中で増殖し、さらに慢性化するとさまざまな身体症状を招きます。現在C型肝炎に感染している日本人では40代以上に多く、これはC型感染対策が施される前に輸血などの医療行為で感染したことが原因の一つです。
実際に医療機関で治療を受けているのは50万人ほどで、残りの150万人ほどの人たちは感染自体に気が付いていない可能性があります。
C型肝炎の症状
C型肝炎に感染すると、どのような症状が見られるのでしょうか?症状を見て行きましょう。
急性肝炎
C型肝炎に感染してウィルスの潜伏期間(人によって異なりますが、概ね2週間~6カ月)が過ぎると、さまざまな身体への症状が表れ始めます。これを急性肝炎と呼びます。
主なものは「身体のダルさ」「倦怠感」「食欲不振」「吐き気」などです。これはウィルスによって肝臓で炎症が起き、肝臓の細胞が壊れてしまうためです。黄疸が出ることが少ないため病気に気が付きにくく、適切な治療を受けない原因にもなってしまいます。
急性肝炎に陥った人の約30~40%は自然治癒しますが、残りの人たちは感染したウィルスが体外に排出されずに残ってしまいます。ウィルスが肝臓に住み続けるため、慢性肝炎(6カ月以上、肝炎の症状が表れている状態)となるのです。
慢性肝炎
慢性肝炎になると肝細胞が線維成分に変わり始めます。肝臓の線維化が進むと、肝臓が徐々に硬くなっていくのです。これを肝硬変と呼びます。
進行段階は「軽度」「中度」「重度」「肝硬変」の4つに分けられ、次の段階に移行するまでに約5~10年かかるのが一般的です。C型肝炎はゆっくりと進行します。進行段階が進むほど肝臓がんの発症率が高まり、肝硬変の状態だと1年間で約5~7%の確率で肝臓がんを発症するので注意が必要です。
感染経路は?
C型肝炎の感染経路は、「垂直感染」と「水平感染」の2つに分けることができます。
垂直感染
垂直感染とは母子感染のことを指します。妊娠している母親がC型肝炎ウィルスに感染していると、出産の際に赤ちゃんにも感染する可能性が生じるのです。
感染率は約5~10%で、赤ちゃんが感染しても3歳になるまでに約30%が自然治癒をします。
水平感染
水平感染とは覚せい剤や麻薬の注射、輸血、入れ墨、ピアスの穴あけ、性行為などで感染することを指します。いずれもC型肝炎に感染している人の血液を通して感染するのが特徴です。
性行為での感染率は低く、夫婦間での調査では約0.23%との報告があります。風俗で働く女性は一般女性と比べてC型肝炎の感染率が8~10倍との報告もあり、梅毒との関連性も指摘されています。
C型肝炎にはワクチンがありません。現在は病院の輸血や検査体制は徹底されているため、これらを原因とする感染率は大きく減っています。性行為での感染率は低いですが、他の性病を予防するためにも必ずコンドームの使用をしましょう。
B型肝炎との違いは?
似たような名前の病気にB型肝炎があります。C型肝炎との違いを見ていきましょう。
まずはウィルスの違いです。C型肝炎はC型肝炎ウィルスが、B型肝炎はB型肝炎ウィルスがそれぞれ原因となります。
またC型肝炎は感染後に肝硬変や肝臓がんなどの病気に罹患しやすいのに対し、B型肝炎はこのような病気に罹患しないのが大きな違いです。しかし急性のB型肝炎を発症した人の1~2%は40℃近い高熱や強い吐き気、強い倦怠感を有する劇症肝炎を発症します。劇症肝炎を発症した70~80%の患者は死亡するので注意が必要です。
またB型肝炎はC型肝炎と比べて感染力が強くなっています。
検査や治療はどこでできるの?
検査や治療を受けられる場所について紹介します。
検査
検査は保健所や医療機関で受けることができます。検査は抗体の有無を調べる「HCV抗体検査」と、ウィルス遺伝子を調べる「HCV‐RNA検査」の2段階です。2段階目のHCV‐RNA検査で陽性反応が出ると、C型肝炎に感染している可能性があります。
治療
治療は医療機関で受けます。現在日本国内で主に行われている治療法が、「インターフェロンフリー」です。飲み薬の治療法で、ウィルスの増殖を防いで体内からウィルスを排出することを目的としています。毎日服用する必要がありますが、約3~6カ月で治療が終了するのが特徴です。飲み薬の治療を続けた人の95%以上が完治しています。
まとめ
C型肝炎は血液を介して感染する病気です。慢性肝炎に進行すると肝硬変や肝臓がんへ至る可能性もあります。性行為からの感染率は低いですが、他の性病を防ぐ意味でも必ずコンドームの使用を徹底してください。
検査は保健所や医療機関などで簡単に行うことが可能です。もし感染に思い当たる節がある場合は、早めに検査を受けましょう。